PTSDと心のケア

日本では、阪神淡路大震災以来、震災の被害者のPTSDの症状が注目されるようになりました。また、東日本大震災などの被害者の支援の中でも、被災者、特に親族を失った子どもたちにどのように接するべきかが問題になっています。心のケアは災害や犯罪の被害者の「惨事によるトラウマ」をどのようにケアするべきか、という考え方は極めて重要なテーマです。このような災害によって、日本でも、物質的な援助や社会制度的なケア以外にも「被災者への心のケア・支援」が制度として取り上げられ、公的機関でも支援がなされるようになりました。
PTSDは、患者の心の内面に大きく影響を及ぼしており、患者自身もなかなかその心の内面をすべて開いてくれません。そのため、心のケアの方法としては、患者の状況やトラウマの内容を理解した上で、長期的なケアが必要となることがあります。また、惨事ストレスによる、後遺症に対する治療や予防の方法も近年、注目されるようになりました。

防衛機能としてのPTSD

人の防衛機能としてPTSDが働くという考え方があります。PTSDはふたたび、トラウマとなった事象を本能的に避けるために、人に備わった機能という考え方が出来ます。これは、トラウマのような状況は本来の生活では「異常事態」であり、生命やその人の精神に大きなダメージを与えるものであるからこそ、トラウマが働くことによって、再びその状況を回避しようという防衛機能という考え方が出来ます。
しかし、この機能によって、患者本人が苦しむことはもちろんのこと、周囲の人々に対しても誤解をもたらすような行動をとったり、場合によっては、過度の防衛によって患者本の健康を害することにつながったりすることがあります。患者の内面性を理解し、惨事によるトラウマの影響を予防し、軽減する試みが必要になってくるといえます。